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訓練による共同体の組織化

著者: フィル・バートル教授

和訳:益子かさり

Gert Lüdekingさんに捧げる


訓練士のためのノート

共同体を組織化するために訓練の作業を利用する

抜粋:

これは共同体の現地で活動する人のための手引きモジュールです。ここでは(単なるスキルの移動という伝統的な目的の訓練を越えた)訓練の作業の一部としての共同体組織化の意味・目的を解説し、それを実行するための方法と技術を紹介します。

ここでは「意思決定のための組織化」と「効果的な活動のための組織化」を区別します。その両方が強化の必要な要素です。それぞれにおいて訓練士が使える方法論を説きます。

序論:

当シリーズの他の各所でも主張される通り、共同体のための管理訓練は伝統的・正統派の訓練の目的を越え、スキルの移動や情報の伝授だけでなく、意識を高めたり励ましたりする活動も含みます。

訓練による容量発展の重要な要素とは組織編成することです。これは訓練士にとっては、組織が無い場所では新しい組織を編成し、組織が既存の場所では効果を高めるために再編成することを意味します。

このモジュールでは管理訓練の作業の一部でいかに組織編成を行うか、そしていかに低収入の共同体を強化するかを説明します。ここでは組織化の目的を解説し、訓練士が意思決定と活動のために共同体組織(CBO)を編成する手伝いをします。

パートA:目的、法則、コンセプト

管理訓練の一部としての組織化の具体的な技術や方法を紹介する前に、組織化の目的と単語の意味を説明させてください。方法論に登場するキーワードの意味を最初に説明するのが便利でしょう。「キーワード集」のモジュール、 キーワードを参照してください。このモジュールだけに登場するキーワードはこのページに掲載します。

あなたが組織化する上で条件となる法則を思い出してください。それらとは民主主義、参加方式、強化、男女平等、社会の進歩から置き去りにされた人々の参加、透明さ、誠実心、病気の予防、維持可能、自給自足、協定、平等、貧困除去、全体の利益、発展です。あなたが共同で活動する市民の価値観に則している保障はありません。

「組織化」の意味:

社会学の教えでは社会・社会的団体は単なる個人の集合ではありません。その個人たちが互いにどう影響し合っているかも考慮されます。社会とはシステム(経済、政治的組織、価値観、アイデア、技術、相互作用)の集まりです。個人は生死や移動によって入れ替わりますが、団体(共同体など)は構成員を超越するので存続されます。それを形成する要素の単なる集合よりも、全体としての意味は大きいのです(共同体とは何か?を参照)。

それと同様に、部屋に個人(例えば教習生)の集団がいるからといって、それが組織化されているとは限りません。あなたの仕事は、彼らを組織化することです。そのためには、彼らに社会的構造を与える一連の考え・規則を持たせ、各構成員を超越するような社会的組織になるための社会的作業をさせます。

「活発化」の意味:

数名の訓練士が共同体に行き、何か構造(責任者、経理、秘書、副責任者などがいる)があるように組織化したからといって、共同体が活動する準備が整った(活発化された)という保障はありません。「活発化」とは動きを作るということです。共同体を組織化したからといって、訓練士は共同体の活発化を完了したことにはなりません。活発化される前には共同体は何かの活動に従事する必要があるのです。

低収入の共同体の容量を発展させるためにあなたが行う訓練では、何かの団体を作る結果に終わるだけでなく、効果的な共同活動に従事できる共同体組織が形成される必要があります。

2種類の主な組織化:

あなたがCBOを組織編成する際は、最初にそのCBOの明確な目標を知るべきです。

組織化には2つの主な目的があります:
  1. 意思決定のための組織化
  2. 何かを達成する活動のための組織化

どの組織もその両方を同時に行うことが出来ますが、あなたは訓練士として、始終CBOを組織化する目標を把握しているべきです。今あなたは意思決定のために組織化しているのでしょうか?それとも効果的な活動のために組織化しているのでしょうか?

もし共同体が大規模な意思決定(「資源が診療所建設と給水所修理のどちらに優先的に利用されるべきか?」など)をする必要があるなら、あなたは意思決定のための組織化を行う必要があります。この場合、意思決定は共同体の市民全員にとって重要であるため、市民全員の意見を募るような組織構造が最適です。市民全員が参加する集会が適切かもしれません(このガイドラインは強制ではなく、あくまで共同体に精通する訓練士であるあなた自身がその知識を利用すべきです)。

共同体の集会を組織する際には、助成人であるあなたは、リーダーとして選ばれた数名の市民と一緒に、男性だけが決定を下さないように、また意識されないと見過ごされてしまう人々(社会の進歩から置き去りにされた人々、精神障害者、身体障害者、少数派民族、宗教的少数派、貧しい人々、読み書きの訓練をされていない人、若者、年寄り、言語的少数派、公民権を剥奪された人、その他多数)も参加するように、積極的に気配りを行ってください。

あなたの目的は、共同体の重要な採決が参加方式で民主主義であることを保障する組織構造を編成することです。

それに対し、診療所を建設する必要がある場合、または借り主の権利を守る新しい法律を制定する必要がある場合などは、活動のための組織化を行います。編成/再編成される組織は、共同体全体の要望に敏感であり、共同体全体の期待に応えるものである必要がありますが、同時にそれは影響力のある組織である必要があります。

伝統的な組織構造(責任者、副責任者、秘書、経理がいる)は意思決定には効果的かもしれませんが、必ずしも「効果的な活動」に適している保障はありません。

正しい定義が重要です:

私たちが専門的に注意深く使っている用語は、共同体強化に精通しない人々によって表面的に使われています。多くの国際的な寄付機関は、維持可能な発展に必須な要素である「共同体参加」に関心があり、専門用語を流行語のように使います。それらの用語は間違って定義され、多くの発展助成企画において間違って使用されているのです。

共同体強化において私たちが使う専門用語の意味を、ゆっくりと注意深く見直してください。「共同体参加」とは、単に市民が労働したり、一部の市民が外部の事務局に相談に訪れることではなく、共同体に影響する中心的採択において市民全員が決定を下すということです。また「共同体を基盤とする」とは、必ずしも地理的・物理的に共同体内に設置されていることではなく、その組織を共同体が所持している(責任を負う)ということであり、その組織の活動の関心が共同体であるということです。

使う用語の正しい意味を知っていることが、維持可能な発展の目標を達成するにあたって重要です。辞書に載っている意味を丸暗記するのは効果的ではありません。概念(コンセプト)を考慮したり、自分の経験を記録したり、経験・アイデアを他の専門家と共有することの方が、専門用語や概念を学ぶのに役立ち、したがって助成人・共同体管理訓練士としての能力を改善するのに便利です。

これは共同体組織化や共同体組織の概念の全体像のおおまかなスケッチにすぎません。あなた自身が活発化・訓練を実際に行う最中に、上記に関してもっと考えてください。他の訓練士に出会ったら、彼らとアイデア・経験を共有してください。それでは組織化においてあなたが使うことができる具体的な方法論を説明します。

パートB:組織化の方法:

低収入の共同体は、放っておかれれば大抵は自発的に組織化しません。参加方式を唱えただけで共同体が自動的に参加する、と誤解する人もいます。それは違います。必ず干渉が行われ、共同体が押される必要があります。そして訓練士/助成人であるあなたに、その干渉の責任があります。そのような干渉は社会的活発化または刺激と呼ばれることもあります。つまり共同体が活動するように始めたり推し進めたりすることです。

決して「訓練士は単に共同体を訪問してどのように組織化するべきか命令して独裁すればいいのだ」という誤解をしないでください。また「参加する許可」を出したからといって必ずしも共同体が積極的に参加する保障はありません。独裁によって何らかの組織的構造が出来上がったとしても、それは維持可能ではありません。それは共同体が「所持」できません。放置されれば、すぐに崩れ落ちるでしょう。

それではあなたはどのようにして組織化と活発化に取り組めば良いのでしょう?あなたが必要とする多くのスキル(特に「訓練士のハンドブック」内のブレインストームなど)が、すでに同シリーズのモジュールで解説されています。上記で区別したように、意思決定のための組織化を行う場合と、活動のための組織化を行う場合では、あなたの取り組みも変えられる必要があります。

あなたの訓練において常にそうであるように、組織化の根底にある法則は、参加方式であることです。管理訓練士であるあなたは、助成人であり、講師ではありません。組織化の作業において、参加する教習生は積極的に行動する必要があります。あなたは助成人であり、独裁者・説教人・講師ではありません。

古典の教育者ソクラテスをロールモデルにしましょう。彼は単に人々に事実を教えたのではありませんでした。彼は質問をすることによって人々が自ら考えるように挑戦したのです。それらはランダムで支離滅裂な質問ではなく、誘導するように連なっていたのです。彼があまりにも多くを考えさせたため、人々は彼を怖がるようにまでなってしまったと言われます。

ソクラテスのように行き過ぎた教育(当時の指導者は彼が反乱を説いているのかと恐れ、彼を死刑にしました)はしなくていいのです。しかし、独裁的な説教するよりも、質問を提起することで人々の心を開くことができるのだ、というソクラテスの概念を学んで下さい。

あなたが質問をすることで、教習生に答えることを促すことができます。つまり、参加者が答えるということは、人々の参加と介入が助長されるということです。聞いて学ぶよりも、実技によって学ぶことの方がずっと効果的です。また、より多くの教習生が参加するほど、彼らはより参加しやすくなるのです。

教習生に答えを教えてしまわず、参加者から必ず答えを募ってください。

意思決定のための組織化:

共同体管理訓練の一部である「意思決定のための組織化」は、社会活発化や共同体発展組織化などの正統派である作業に似ています。あなたの仕事は、共同体全体の採決や目標を最も正確に反映するCBO(共同体組織)を作ることです。すでにCBOが存在する場合も、共同体全体の採決を反映するような影響力のある組織構造に改善する必要があります。あなたの目標はその作業をできるだけ参加が多く、できるだけ全員の意見を反映する、できるだけ民主的な構造にすることです。

あなたの開始地点は、市民全員が参加する集会(ミーティング)を開くことです。男性・高学歴・リーダー的存在である人が多く参加してミーティングを支配する傾向があるかもしれませんが、彼らの優先したい問題はその他の人々と違っているかもしれないのです。ですから「その他の人々」も必ずミーティングに参加するべきです。そしてあなたは全員の意見をまんべんなく聞いてください。(「人々を団結させる」を参照。)全員がミーティングに出席することが必須であることを、あなたは市民全員に伝えてください。

共同体が優先して説かれるべき問題を決定する際のガイドラインは「ブレインストーム」のモジュールを参照してください。あなたは出席した全員に注意深くブレインストームの基本ルール(「他人の提案を批判しない」など)を説明してください。単に 「(1) 優先目標の決定」だけで終わらせないでください。「(2) 優先問題の解決方法、(3) 優先目標の詳細をもっと提案する、(4) 資源と制約を明らかにする、(5) 提案された数個の作戦の中から一つを選ぶ」も行ってブレインストームのセッションを完了してください。

これらの大規模な決定事項は、のちに行う「活動のための組織化」の枠組みとなります。「活動のための組織化」では、共同体企画の計画と詳細が決められます。

参加者に「何をすべきか」「どれを選ぶべきか」「何を考えるべきか」などと命令してはいけません。

それよりも、問いかけてください。
挑戦することで彼らを強くして下さい。

質問をすることは(特に優しい声でされた場合)非常に無罪で、危害のない行動です。しかしそのビロードの外皮の内には、共同体強化と維持される発展のための組織化のための社会変化のための、とても力強いツールが秘められています。特に集団を組織化に効果的に導くような、このモジュールの最初で述べられるような法則に従った質問は、考えること・分析・参加を促進します。

「何が必要か」「何でそれをするのか」「目標は何なのか」「それが目標達成にどう寄与するのか」「代わりに何をできるか」以上はあなたが参加者から答えを募るために聞くことができる質問の一部です。それぞれの質問は無害でありながら、意思決定の作業に参加者を積極的に参加させることができる質問なのです。あなたは狙うべきものをよく理解し、多くのありがちな答えの弱点を知る必要があります。参加者が現実に直面し、共同体の問題の解決方法を考案するよう促すように、論理にかなった順序で質問をするスキルを身につけてください。これを全て行えば、あなたの質問はさらに効果的なものになるでしょう。

最初に提案された意見をひたすら受け入れないでください。その意見を尊重しつつ、「それは最善の方法か」「他に方法はあるか」と挑戦してください。「この方法が、この目的において、正しい方法か」という問いかけに対し、決して「いつもこの方法だったから」とか「何が何でもこれが正しい方法なんだ」といった答えは受け入れられません。伝統を真っ向から否定・批判するのではなく、参加者が状況についてよく分析し、最も適切な解決方法(必ずしも正統派である必要はない)を見つけるように、質問によって彼らを挑戦してください。それこそが共同体・組織に力を与え、強化し、容量を増やさせるのです。

同時に、意思決定においてあなたの目指すべき他の法則(少数派への配慮、全ての人を市民として尊重する、民主主義、誠実心、透明さ、参加方式、包括的)も念頭に入れておいてください。市民がそれらの法則に直面するような質問をする姿勢をとってください。あなたが質問をするたびに、市民が「上記の枠組みに沿って目標の達成を試みる」ことを思い出すようにして下さい。

最初に口先だけで調子良く民主主義を推し進める言動を発しても、多くの人々は自動的に(無意識のうちに)「民主主義とは西洋の概念を意味するのだ」と考え、代表制・選挙・投票・党派・議会などの機能を想像するかもしれません。

意思決定のために共同体を組織する間、あなたは彼らのそのような仮定を鵜呑みにせず、また教習生がそのような仮定するのを許可しないでください。教習生が斬新な考えを思いつき新しい非正統派の構造・作業を作る勇気を持つよう促進してください。

優先して解決されるべき問題を決めることの他に、共同体全体が決めるべき重要なこととは、CBOの執行委員会の委員(メンバー)を選ぶことです。

執行委員会を組織する:

共同体はある時点で必ずその全体の目標を叶えるための執行委員会を編成する必要があります。共同体の全体集会で提起するのは重要で一般的な質問です。詳細な質問は、市民全員で考慮するには時間がかかり過ぎます。執行委員会が共同体全体と十分なコミュニケーションをとり、その要望に敏感であり、採決が透明であれば、質問は執行委員会が考慮したほうが効率的です。

執行委員会は「意思決定のための組織」と「活動のための組織」の真ん中に位置し、その両方の機能の多くを果たします。それは共同体(意思決定のための組織)と共同体企画(活動のための組織)との架け橋です。ここでの「執行」とは管理のことを意味します。執行委員会は共同体全体の代表としての管理委員会なのです。

あなたの仕事は、共同体の「ために」活動をするような執行部を共同体が組織するように促すことです。決して執行部のために共同体が活動するのではありません。また共同体の要望を叶えるために執行部があるべきです。決して執行部の要望を共同体が叶えるのではありません。そのために、あなたの訓練セッションでは、どのように執行部を組織するべきか問いかけて下さい。

あなたは次の二つの事項を考慮すべきです: (1) 委員を選ぶ作業では何が行われるべきか、そして (2) 実際に誰が執行委員会に就任すべきか。

小規模で田舎にあり資源の少ない共同体においては、正式な作業(投票用紙を使っての選挙)は不要であると同時にコストが大きすぎます。それに対し、都心生活によって社会連帯が少なくなっている都会の共同体では、市民が種々雑多であり、正式な選挙アプローチが必要である可能性が高くなります。ここであなたの共同体への理解と、応用社会学者としてのスキルが重要となります。

市民全員が理解することができ、透明であり、参加者全員にとって受け入れられるような選択プロセスを促してください。その選択の方法を、部族のリーダーを決めるために伝統的に用いられた方法など、伝統的な方法に似せること(遺産相続のルールを形式的に守る必要はなく、解釈的・意味的に方法を真似るということ)によって練り上げた方法にすれば、成功する可能性が高いでしょう。

もし執行部が編成されてしばらく期間を経た後、委員会に対する苦情(大抵は予算の横領や共同体の承認しない活動を行ったことなど)があった場合、不満をもった市民があなたに文句を訴えてくるかもしれません。あなたは彼らに「あなたと他の市民が全体として執行部を編成したのです。責任は助成人である私にではなく、あなたにあるのです」と言うことができるはずです。

執行委員の選択は、助成人であるあなたの間違いでは無いはずですが、あなたは注意深く選抜の方法・作業が本当に透明・包括的・堅実・平等であったか再考します。それは苦情が寄せられた後でも決して無駄な検査ではありません。もしかすると再度、全体ミーティングを開き、新しい執行委員会を編成する必要性があるかもしれません。

もう一つの考慮されるべき議題は、実際に誰を委員に就任させるかです。ここで再度、あなたは「誰を選ぶべきか」などと命令するのではなく、質問を提起することで教習生を参加させて下さい。あなたの質問は誰を就任させるかの仮定を(優しく)挑戦する機能を果たすべきです。

最初はもしかすると市民は単に「教育を受けている」という理由だけで特定の人々を委員に選ぼうとするかもしれません。彼らには「そのような価値判断には根拠がない」ということを明確に伝えてください。彼らはどのような人々を選ぼうとしているのでしょうか?市民はは信頼のおける、やる気のある、共同体に忠誠心のある、執行部の活動についての正確で包括的な情報を共同体と共有・伝達・連絡できる人を選びたいはずです。

共同体の「教育を受けた市民」の多くは、他の地域出身です。彼らにその共同体への忠誠心があるという保障は無く、もしかしたら共同体の経費を横領して逃亡する可能性もあるのです。市民はそれを考慮すべきです。市民全員から尊敬されるおばあさんの方が、例え教育を受けていなくても、委員に適しているかもしれません。「しかし彼女は読み書きの訓練を受けていない」と反論する市民もいるでしょう。あなたは答えます「だから何だと言うのですか?」彼女の孫たちに必要な書類を翻訳・朗読してもらえばいいのです。さらに市民が集まった夕食の団らんの席でそれが行われれば、共同体の議題について市民の間の伝達・連絡・情報共有が促進されます。子供たちが学校で噂を広めることも広告の手段の一つです。このような人は特に経理(または会計)の役員に適しているでしょう。

中には執行部というポジションに憧れ、その役職に就くことで有名・人気を得たいという個人的な利益のために、委員に選ばれたい人も現れるかもしれません。その彼らは選ばれるために選挙活動を始めるでしょう。あなたはそのような動機を持つ人を見分けて下さい。そしてちゃんと利他的・忠誠心を動機とする人々が市民に選ばれるよう、市民を導いて下さい。公的に特定の人を名指しにして批判してはいけません。委員を選ぶ作業において考慮されるべき問題を提起すればいいのです。

逆に「地位が高い」という理由で特定の人々を選ぼうとする人も現れるでしょう。そうすれば執行部に名声や威光がもたらされると期待しているのかも知れません。しかし「地位が高い」人々が必ずしも委員会の機能に貢献するやる気を持つ保障はありません。もしくは彼らは多忙かもしれません。このような問題も市民に喚起してください。

あなたは誰を委員に選ぶかを市民に強制してはいけませんが、以上のような問題を踏まえた上でどのような基準を用いて執行部を選びたいのか、明確に基準化するように市民に問いかけて下さい。

ちなみに、執行委員会は必ずしもこの名前で呼ばれる必要はありません。それを「共同体施行委員会」と呼ぶ地域もあれば、「発展委員会」と呼ぶ地域もあります。「委員会」が付かなくても構いません。共同体が選ぶどんな名前でも良いのです。その共同体の名前が含まれていても良いし、「共同体」を意味する別の言葉でも良いのです。共同体がその組織を本当に付けたい名前で呼ぶよう促して下さい。あなたが何かを強制してはいけません。

効果的な活動のための組織化:

市民たちと共同でプロジェクトの計画・施行のために活動している間、あなたは執行委員会と活動することが頻繁にあるでしょう。その際はあなたの訓練セッションを執行部のための管理訓練に特化する必要があります。それは市民全員が集まって優先目標や執行部を決定するミーティングよりも小規模で直接的なセッションになるでしょう。

教習生(参加者)には「意思決定のための組織化」と「効果的な活動のための組織化」は違っているということを説明して下さい。彼らは自らの共同体を組織する際に、伝統や常識を受動的に鵜呑みにするべきではないと説明してください。彼らには斬新・創造的になる自由があるのです。どんな方法であれ、彼らの作業は最も効果的な組織化であるべきです。

さらに執行部の仕事とは「共同体の要望を反映する採決を下すこと」「透明化に寄与すること」「大規模な意思決定が下される時は必ず市民全員が集まる全体集会を開くこと」だと説明してさい。実際に行動を仕切るプロジェクト(企画)委員会も編成されるべきです。執行部と企画委員会には重複するメンバーが多いかもしれませんが、その二つの委員会は同一ではありません。企画委員会とは、プロジェクトが共同体の要望に則した形で実行されるために組織されるべきです。

執行部は「意思決定のための委員会」であるため、それに適切な形式は伝統的な組織(責任者、副責任者、秘書、経理がいる)であるかもしれません。しかし市民が別の形式を望むなら、伝統的な形式に固執する必要はありません。また企画委員会には「伝統的な形式」は不適切であるかもしれません。

企画委員会とは「活動のため」に組織されるのです( 共同体企画デザインを参照)。市民全員が参加したブレインストームのセッションの結果をもとに、企画委員会は「目標の考案」「資源(暫定と決定)の調査」「制約の確認」「作戦の考案」「最善の作戦の選択」「組織・計画・段階分け・予算の詳細化」を行います。予算とは「入力(資源)を出力(目標)に変換する」ための経費です。この作業の構造とは「企画委員会が執行委員会に報告し、その報告を受けた執行委員会が共同体全体に報告する」です。

プロジェクトによって、また目的によって、その企画委員会に最適な形式は変わるでしょう。「公共の給水所の設置」を企画する場合と、「賃借人の権利を守る法律の制定」を企画する場合とでは、それぞれの企画委員会の組織・構造は違っているでしょう。

ここでは「管理訓練の4つの質問」の第3質問がガイドになります。「持っているものを、どうやって使って、欲しいものを手に入れるか?」( 共同体管理訓練を参照)。「どうやって」の部分が大きな質問です。その答えには「作戦、組織の構造、予算、段階分け、監視、施行、その他多数の詳細事項」が含まれます。

「企画委員会の人員・組織的な構造」(それぞれの委員の役職の仕事内容の明確化)とは執行委員会の責任です。あなたの助成人・訓練士としての仕事は、執行委員会が企画委員会を作るのを励ましたり手伝うことです。

執行委員会が組まれ、企画が進行しているからといって、あなたの訓練士・組織人としての仕事が終了ではありません。あなたには監視する責任もありますから、執行委員会の仕事の監視(共同体全体が必要な仕事をしていることの確認)と、企画委員会の活動の監視(作業が完了されているか、最も効果的な方法で仕事が行われているかの確認)をしてください。

その後は、改善のための訓練が必要となります。あなたは (1) 共同体全体、(2) 執行委員会、(3) 企画委員会へのさらなる訓練が必要であると判断すれば、その都度その人々を集めて訓練セッションを開いて下さい。

結論:

あなたの仕事とは、管理訓練を活用して、意思決定と効果的活動のために、共同体を組織(再)編成することです。そのためには助成的・参加方式の訓練方法を使ってください。決して「〜すべきである」と命令するような独裁的な方法を用いないでください。

共同体の組織の容量と影響力を増やすために、集団が単に伝統にしたがった(または深く考慮されていない)意見を提起したなら、あなたは質問を(意見を挑戦)します。あなたは共同体を強化するために、その「意思決定の能力」と「したい活動を完了する能力」を増やし、その耐久力を強めます。

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© コピーライト 1967年, 1987年, 2007年 Phil Bartle
ウェブデザイナー Lourdes Sada
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最終更新日:2011年10月27日

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