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文化の保存

著者: フィル・バートル教授

和訳:益子かさり


この記事はオードラ・タリファーさん(活動家、学者)に捧げられます


それではあなたは文化を保存したいと思っているのですね?

それは良い理想です。しかし驚くことに、保存することは文化を危機にさらしかねないのです。

まるでパラドックスですね。でも文化の本質とそれをどう強化するかを注意深く考慮すれば大丈夫です。このウェブサイト上の強化方法論は、守ることではなく強くすることに集中されているからです。

文化を強くしたいのか、それとも保存したいのでしょうか?それはあなたが決めます。でも片方だけ選んでください。両方は同時に叶いません。

文化の性質:

文化保存の理念を説明する前に、文化の定義をはっきりさせましょう。 文化 の最も基本の定義は、それが私たちの学ぶ全てのことから成り立っている、というものです。

このサイト上の複数の記事で文化について述べられています。その内の二つが 文化共同体とは? です。その両方で、文化とは社会文化的な機構(または 社会共同体)であるということ、また文化は私たちの(遺伝子に因らない)全ての信条・行動の集まりであることが強調されています。文化は遺伝子ではなく象徴という形で受け継がれます。それらは6つの 側面を持ちます。それらは技術的側面、経済的側面、政治的側面、規格化された(相互作用の)側面、美学と価値観の文化的側面、そして私たちの世界観(宇宙の本質についての把握)です。

「文化」の一般的、日常的、または俗語による定義とは、社会学的には6つの側面のうち1つだけ(美学)です。アフリカの太鼓や踊り、アメリカ先住民の太鼓や歌、ヨーロッパのバレエやオペラ、この3つはどれもそれぞれの文化の全てではなく一部を表しているだけです。

それらの伝統的な歌・踊り・音楽が、それを演奏・鑑賞する人の主体性の重要な要素であるため、それらを保存し繁栄させ、全ての社会においてその存在感・イメージを増やし、その内容を拡大することが推奨されます。個性の強い感覚は 共同体を強化する 上で価値のある要素です。 強化の要素を参照。

それ以外の側面、また同側面内の他の要素において、文化の保存がその弱化を招いてしまいます。

保存の性質:

私たちの知っている「保存されたもの」を考えましょう。ビンの中の漬け物、標本の中の蝶々、財布に使われる皮革、ビンに入ったブルーベリージャム、建物の材木、こはく内の昆虫、ホルマリンに漬けられたカエル。それら全てには共通点があります。それらは全て一度は生きていた(またはその一部だった)、そして今は死んでいるということです。

保存の作業とは何かを修正してそれが長く続くように、それが変わらないように、それが生きないようにすることです。何かが生きているためには、それは変わりつづけ動かなければなりません。何かが長時間変わらないようにしたいなら、殺さなければなりません。どんな保存方法を使おうと、それはいずれ必ず変わってしまいます(仏教の常識)。

文化を成長させ強くさせる

文化についての資料を見返せば、文化は生きている物なのだと分かるでしょう。それは人々の象徴、意味、行動から成り立っていますが、その媒体である人間の寿命より長く生きることができます。生物学的ではありませんが、それはまるで生き物のようです。それは生物を 超越 しています。

それは自由を与えてはくれません。もし自由という物を受け取ることができるなら、それは取り上げられることもできる( 老子の教えによれば)ので、それは本当の自由ではないことになります。

このウェブサイト上の強化訓練は、貧困と抑圧(それを被る人々ではなく)に対抗することを狙いとしています。それらの方法は、貧しくて抑圧された人々の集団を強くするためのものです。彼らが強くなるためには、彼らは変わらなければならず、よって彼らの文化も変化しなければなりません。そして彼ら自身でそれを行うのです。私たちは、彼らのために実施や援助をするのではなく、介助や励ましのみ出来ます。文化とは「人々が習う全てのこと」であるため、強化のための変化は必然的に文化も変化させます。成長(また腐敗)とは変化です。それらを成長させましょう。

花は十分な水、日光、土、ミネラルが与えられれば生長します。上から引っ張ったからといって、茎が伸びるわけではありません。私たちは水やミネラルを提供できますが、生長しなければならないのは花(共同体のように)自体です。上から引っ張ることは 社会工学のようなものです。花においての強化方法論とは水やミネラルを与えることで花が育ち強くなるのを刺激することです。

多くの人が、伝統的な文化が理想郷だという神話を信じています。それが違うという証拠があります。「古き良き時代」など存在しなかったのです。植民地時代前に不変な共同体などありませんでした。暴力や戦争や差別が存在し、変化と適応があったのです。私たちは不当な過去を信じたり、存在しない物を保存しようとしたりするべきではありません。今も昔も、強さ・成長・生存には変化と主張が必要なのです。

精選する

歌・踊り・音楽が、個性の意識(容量発展の重要な要素です)を強調させるため、それらを保存することが推奨されるのは、前述の通りです。しかし、共同体が強くなるために、修正されるべき慣習や価値観も、中にはあります。

文化を衣服だと想像してください。実際、衣服とは技術であり、私たちの文化の一部です。私たちは環境の状態の変化に合わせて違う衣服を着ます。氷河でアザラシを狩りに行くのに水着を着ていく人はいません。南国の海を泳ぎにいくのに北極用パーカを着る人もいません。成長し、くるくる変わる環境に適応するためには、それぞれの状態に合わせて文化の違う側面を「着る」必要があります。

もう一つの例は、文化を交通機関と例えることです。サケを釣りにいくのに、四輪駆動のジープで海に潜る人はいません。またカラハリ砂漠にキリンを狩りにいくのに漁船に乗る人はいません。私たちは適切で効果的な方法を精選します。もし文化のある側面が私たちの生存・成長を邪魔するなら、新しい文化を「着る」必要があります。 FGMを参照。

とても名誉あり賞賛に値する文化の部分もありますが、もしそれが私たちを弱化させ消滅させるならば、新しい服に着替えたり新しい交通手段に変更したりするように、文化も変えられる必要があります。「訴訟を起こして戦うつもりはない」と言って、文化を誇りに思っていたら、その所有権を主張する強さを失い、文化も失われてしまいます。

もし「私たちは常に権威ある人を尊重し、それに服従する」と言ったら、その権力が罪悪だった場合、私たちは文化のその側面を別の物と交換しなければ、支配者によって搾取・抑制・強奪されます。

したがって「伝統的な文化を最優先に考え、保存する」というつもりではいけないのです。私たちの自己の認識は維持されるべきですが、価値観・習慣・思考法・行動方法を適応させ、私たちを強化する物(誇らしくさせ弱化させる物ではなく)を採用するべきです。パーカは誇るべき衣服ですが、南国の海水浴では役に立たないでしょう。

現代の植民地時代以降のアフリカや南米、欧米社会においての先住民の集団、貧困にある世界の国々、そのどれもが、文化の修正を必要とする環境に生きています。私たちを強くするのに適切な文化を意識的に選択する必要があります。

結論〜文化を保存したいのですか?

このサイト上の強化訓練において強調されているのは、共同体に参加や決定を促すということが、必ずしも私たちが彼らの要望を無条件に受け入れなければならないという意味ではないということです。それは共同体の市民を挑戦し、彼らにその要望を注意深く考慮することを推し進めることです。最終的に彼らが責任をもちます。

あなたの活動家としての難問は、それら(なぜ貧困の改善ではなく除去が求められるのか)が何を意味するかを明確に理解することです。

「文化の保存」という理想は、深く考えないと、善良なことのように思われます。私たちは最初それに賛成したくなります。しかし、より注意深く考えれば、その反対が望まれるのだと分かります。

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© コピーライト 1967年, 1987年, 2007年 Phil Bartle
ウェブデザイナー Lourdes Sada
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最終更新日:2011年10月25日

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